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なぜ海藻か

再生可能エネルギーの中には様々ありますが、私はオイルショックを経験しているので石油代替燃料:液体燃料の実現を目指してきました。液体燃料にも様々ありますが、私が辿り着いたのはエタノールです。(下戸ですが)

プロセスを簡単に示すと以下のようになります。

再生可能なエネルギー源:太陽光⇒高濃度グルコースを作る海藻を浮遊担体で養殖⇒グルコースからエタノールを製造

少し細かく説明すると以下のようになります。

太陽光は薄い、光合成効率が低い。⇒広大な面積が必要⇒海洋の利用が必要⇒海藻の中に高濃度のグルコースを作る種:ジュズモ(シオグサ科)が見つかる。⇒高濃度グルコースを作る海藻を海面に浮かせて養殖(微細藻類はコンタミや回収・脱水等に課題があり、海洋での培養は実用化されていない)⇒グルコースからはエタノール・バイオプラスチック等を製造可能。

生物は自己増殖することによって数十億年に渡る進化を遂げてきました。そして光合成することによって太陽エネルギーを固定・利用できるようになりました。人類は自己増殖や光合成を人工的に作ることができるようになるでしょうか。

自己増殖する人工生物は聞いたことがありませんが、人工光合成はいろんな会社が取り組んでいます。

例えば三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長は人工光合成に対して以下のように仰ってます。

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工光合成 三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光

2014/3/3付日本経済新聞 夕刊

私の勤める会社には化学の専門家がたくさんいて、「この分子にメチル基を結合させて」という話をよくする。まるでその目で見たように話すけれど、実は違う。正確にはたくさんの分子をある環境に置き、ある操作をすると、統計的に大多数がメチル基と結合したことの証拠が得られるだけ。とまで言うと言い過ぎか。しかし、特定の分子1個だけにメチル基を結合させるような操作は、やはりまだ遠い夢だ。

ヒトはその程度だが、これを細胞レベルで見ると、生物は特定分子の特定箇所に個別の操作を加える芸術的な営みを日常的に行っている。中でもヒトという動物からは植物の行う光合成が、最も芸術的で経済的な価値も高い営みであるように思える。19世紀の中ごろ、「植物が何か変ったことを」と気づいてから私たちはもう150年もその解明に取り組んで来ているのだ。

おかげで大分見えてきた。自分の目で見たように、その細かで複雑なシステムを説明できるようになってきた。MgやMnという金属を含む錯体に光を浴びせATPを作り(明反応)、それを使い水と二酸化炭素から糖を作る(暗反応)。だいたいの理屈はもう掴(つか)んでいると言ってよい。まだたくさんの小技があるはずだが、このまま研究を続けると「動物(ヒト)にもできそう」な気がしてくる。

新たなエネルギー源を人類にもたらす点で、人工光合成はシェールガスをしのぐイノベーションになる。今世紀中に成功すれば間違いなく「最大」のものになるだろう。後どれくらいの研究が必要だろう。無理なら、光合成は植物に任せ、より高度化された農業に注力した方がよい。

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光合成をする植物のうち藻類は重力に耐える必要がないので、難分解性のリグニンが少なく、陸上植物に比べ分解(糖化)が容易と言われています。しかし藻類のうち微細藻類はニューサンシャイン計画からだけでも30年近く研究されてきましたが、海洋などの開放系はコンタミ(赤潮)や回収の困難さから実用化には至っていません。私が浮遊担体を考案した時に共同研究頂いた東京農工大松永教授(後に学長、現JAMSTEC理事長)は以下のように仰っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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これに対し、海藻はコンタミの影響が少なく回収が容易なので養殖が普及しています。

10年程前までは海藻には油分やエタノール原料となるグルコースが少なく、バイオ燃料として不適とされてきましたが、

ホームで示したように近年、海藻の中に高濃度のグルコースを含む種:ジュズモ(シオグサ科)が見つかりました。

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